待つことは、決して嫌いではない。
嫌いではないが、胸がこうどきどきするのは堪らない。

新しい武具を一緒に見に行こう、と約束したのだ。
街の市に武具を扱う店が新たにでき、そこには実用的なものからとんでもないものまでが揃っていて、上手くいけば結構な逸品を破格の値段で手に入れることが出来る、という話を仕入れてきたのは馬超だった。
だから一緒に行こう、と言ったのも馬超だった。
武人二人分の運を使えば良い武具のひとつくらいには巡り会えるかもしれないと真剣に言う馬超に、くすりと笑って快諾したのは趙雲だ。
とくとくと速まる胸の鼓動を隠して、いつものように穏やかに笑うことに努める趙雲だった。

馬超を待ちながら、趙雲は馬超を想う。
いい話がある、と言って笑う馬超に胸が苦しくなる。
一緒に行こう、と誘う馬超に心が浮き立つ。
二人なら、と真面目な顔をする馬超にとくんと心が跳ね上がる。
決して短くはない時間一緒にいるというのに、相変わらず趙雲は馬超にどきどきさせられる。
はじめて字を呼ばれたときも、はじめて手を繋いだときも、はじめて口唇を合わせたときも、はじめて身体を重ねたときも、壊れてしまうのではないかと思うくらい心の臓は拍を刻んだけれども、ただ馬超を想う、それだけでも趙雲の胸は切なくて、苦しい。

だから待つことは、苦手だ。
馬超のことばかり考えてしまうから。
きっともうすぐ、待ち合わせた時間通りにやって来て馬超は、趙雲に向かってやわらかく笑う。
その笑顔に、趙雲は今よりもっとどきどきするとしても。

早く来ないかな、と趙雲は思う。
なんでもないような、素っ気ないような顔をして馬超を待つ趙雲は、どきどきしながら馬超を想った。









the waiting


≪re.