地平線が見渡せる。
今いる高台には、二人で遠乗りと称してよくやって来た。
目に映る景色は、日常の一環だ。
だから、連れ立ってやって来た今日も、日々変わらぬ出来事のひとつにすぎない。
それでも、この前来たときとは違う。
そして、この次来るときとも違う。
未だ乱世は終わらず、世情は良い方にも悪い方にも進展していない。
だが、今というこの時は刹那しか存在せず、また同じ時は二度と来ないのだということを、二人は言葉にはせずとも知っていた。
「風が、心地良い」
「ああ」
そよぐ涼風に前髪をふわりと遊ばせながら趙雲が目を細めれば、馬超も地平を見つめながら微笑んだ。
「向こう、雲が速い」
「ああ…。荒れるかな」
「いや、流されて終わるだろう」
些細なことを言葉にする。
目につくものを口にする。
それは受け取ってくれる相手がいるからこそであり、その甘えに似た会話は二人を癒す。
「孟起」
「うん?」
優しい眼差しが交錯し合う。
それと同時に、体温が伝わる。
少しも驚きもせず、全く照れもせず、触れられた指先は絡まり合い、しっかと繋がれる。
並び立つ両雄に、天陽は惜しむことなく優しい光を与え続け、あたたかな天風はその身体を穏やかに包んだ。

the horizon
≪re.